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伝播様式による分類では、自然環境伝播型で、狭義の人獣共通感染症には属しません。数年前までは、検査に多くの血液量が必要だったのですが、近年になって、CBL(Companion Bird Laboratories鳥専門の検査機関)にて、アスペルギルスも遺伝子検査が糞便や少量の血液でも遺伝子検査が出来るようになった事により、大型鳥だけでなく、セキセイインコやオカメインコなどの小型鳥種でも感染が疑われる事が多くなってきました。当院でも、呼吸器症状が認められた鳥に高い確率で遺伝子検査陽性を確認しています。 |
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原因はAspergillus という環境中に広く存在する真菌(カビ)によります。猛禽類、水禽類など多くの鳥種で世界的に発生がみられます。飼鳥では、ヨウム、ボウシインコ、大型オウム類、九官鳥で感受性が高いと言われています。当院では、セキセイインコやオカメインコも感染を確認しています。この真菌は、環境中に広く存在して、鳥類は、絶えず環境中の胞子にさらされていますが、吸入した人や鳥が、全て感染するわけではありません。栄養不良、非衛生的な環境、別の病気の存在、抗生物質やコルチコステロイドの長期投与、換羽や繁殖期などの免疫の低下が起こりやすい時期や条件で、病原性が高くなります。人では、以前に肺結核や、肺炎、肺がんの切除手術を経験した等、肺に傷のある方に感受性が高いといわれています。低い湿度と、ほこりの多い環境では、呼吸器粘膜の粘膜繊毛の活動が阻害され、感染しやすくなりますが、反対に、湿った食物、食器、ごみや、糞、換気の不十分な湿った環境中で真菌は成長しやすいので、環境中の胞子を増やさないためには、清潔に気を付ける事が重要です。 |
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感染している鳥の近くに行ったら伝染するということでなく、環境中から人、環境中から鳥で、それも上記の因子が揃わないと感染しないということなのです。 鳥の臨床症状は、食欲不振、体重減少、沈うつ、開口呼吸、テイルボビング、運動後の呼吸困難、呼吸時の音、声の変化などがあります。神経組織を含むアスペルギルス症では、運動失調や麻痺に関係することがあります。最初に気づく変化は、部屋で遊んだ後や、爪切りなどをした後に、正常の呼吸に回復するのが遅れることがよくあります。突然、呼吸困難を起こし、死に至ることもあります。
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検査方法は、糞や血液での遺伝子検査、一般血液検査、レントゲン、気管などの呼吸器の拭い液の培養などです。 治療は、数種類の抗真菌剤の内服や定期的なネブライザー療法を当院では約3ヶ月行います。看護の仕方もアドバイスします。その後、間隔を空けた複数回の遺伝子検査で陰性と確認され、症状、血液検査、レントゲンで異常なければ終了です。 ただ、治療前のレントゲン検査によって肺や気嚢に結節(ファンガスボール)が認められた場合は、難治性の事が多いです。この結節とは、呼吸器に真菌が感染した際、生体反応で、感染から身を守ろうとして、真菌の周囲にマクロファージ、偽好酸球、リンパ球とともに肉芽組織のボールをつくり、それで真菌を取り囲みます。皮肉なことに、これが徐々に大きくなることで、物理的機能障害を起こすし、薬も行き届きにくくなってしまうのです。 当院では、鳥がこの病気だとわかった時点で、人の健康も考え、衛生面でのアドバイスと、カビ胞子も吸着できる空気清浄機を使うよう薦めています。
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